食べ物が飲み込みにくくなった人に!
食べ物、飲み物の飲み込みにくさ(嚥下障害)は、特に高齢者にとって大きな問題となってます。
加齢により飲み込む力が衰えると、飲食物の一部や口腔内の細菌などが気道の方に入り込み(誤嚥)、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があり、とても危険です。
誤嚥性肺炎は時として重症化し、命にかかわります。ただ誤嚥を恐れて飲食が進まないと低栄養状態となり、食べるための筋肉も衰えるという悪循環にもなり余計に食べれなくなります。
誤嚥しにくい食形態(とろみ食など)の工夫、言語聴覚士などによる嚥下訓練、歯科などによる口腔ケアで、口の中の衛生状態を保つことが大切になってきます。
口腔内を清潔に保つのと、食べ物を食べれるようにする訓練が重要になってきます。
ここでは口腔内のブラッシング指導、食べ物を食べれるようにする訓練を紹介します!
口腔ケア・ブラッシング
口腔ケアは口の中の清潔を保つためのケアであり、誤嚥性肺炎の予防へのケアに必要不可欠なものです。
歯ブラシなどを用いて、口腔内を清潔にすることで食物残渣(食べ物の残りカスや汚れ)や、口腔内の細菌を除去し、口腔内の衛生状態を改善させることができます。
また口腔内を刺激することで唾液の分泌活性化し自浄作用を強めて誤嚥による肺炎の予防など、期待される効果はたくさんあります。
口腔ケアは基本的には歯ブラシを用いますが、図に示す通り歯間ブラシやスポンジブラシなど、補助的な用具も併せて使用することで、効果はより大きくなります。
また、高齢者や寝たきりの患者様は唾液の量が少ないため口腔内が乾燥している場合には、少量の水や保湿剤を用いて、口腔内に残っている乾燥タンなどを除去して口腔内の環境を整えるケアを行うことにより誤嚥性肺炎を防ぎます。
図 :口腔ケア時の必要物品
摂食嚥下訓練
嚥下には舌の動きが重要になってきます。舌の動きをスムーズにする簡単な体操をご紹介させてもらいます。
「パタカラ体操」は発声しながら口を動かす、「口の体操」のことです。
「パ」「タ」「カ」「ラ」の4文字を発声するため、「パタカラ体操」と呼ばれます。
高齢者になると、口の筋肉や下の動きが弱まるため、嚥下機能(飲み込む力)が低下し、食べ物を誤嚥してしまう恐れがあります。
「誤嚥性肺炎」は、誤嚥により食べ物が気管に入り、肺が炎症になることが原因で起こり悪化すると危険です。
そこで、「パタカラ体操」を取り入れることにより、口や舌の動きが鍛えることにより食事をスムーズにできるようにリハビリします。
食べ物を上手く飲み込めるようになれば、誤嚥性肺炎を防ぐことも可能です。
「パ」の音は、口をしっかり閉じて発音することがポイントです。
口を閉じる筋肉が鍛えられることで、口の中の食べ物をこぼさないようにすることができます。
「タ」の音は、舌を上あごにくっつくように発音しましょう。
下の筋肉が鍛えられると、食べ物をしっかり押しつぶしたり、飲み込んだりすることができます。
「カ」の音は、のどの奥を意識して発音すことが大切です。
のどの奥に力を入れ、一瞬呼吸を止めることで、食べ物を飲む込む動作ができます。
のどを閉じることで、誤嚥を防ぎ、食べ物を食道に送ることができるようになります。
「ラ」の音は、舌をまるめて発音することを意識しましょう。
舌をまるめてよく動くようにすることで、食べ物を喉の奥に運び、飲み込みやすくなります。
以上の「パ、タ、カ、ラ」の発音に共通して言えるのは、ただ発音するだけでないということです。
「大きな声で」「一文字一文字」「はっきりと」意識して声に出すようにしましょう。
慣れてきたらできるだけ早く、繰り返して発声すると、より効果的ですよ。
童謡や好きな歌などに取り入れてみるのもおススメです。
歌詞を「パ、タ、カ、ラ」に変えて歌うだけなので、「パ、タ、カ、ラ」と発声するよりは、楽しみながら体操することができます。
飲み込みにくさや誤嚥性肺炎についてなど気になる方は是非お気軽にご相談ください☺