歯周(歯茎)外科の再生治療について!
歯科の2大疾患の1つが歯周病です。
その発症と進行によって歯の喪失が生じると、口腔機能障害を引き起こします。
そこから全身の健康に悪影響を及ぶ可能性があります。
歯周病は生活習慣病として位置づけられ、糖尿病や高血圧など全身性疾患とも関連します。
また我が国の歯周病の有病率は他の疾患と比較して高く、特に中高年以降、急速に歯を失うというデータがあります。
歯周病は、歯周病原細菌によって引き起こされる感染病であり、歯周組織(歯肉・セメント質・歯根膜・歯槽骨)を破壊していきます。
歯周病が進行する速度は、比較的緩慢でほとんどのケースにおいて無症状のまま、数年単位で進行していきます。
患者さん自身が歯の揺れや歯茎の出血を自覚したときには、歯槽骨の吸収などの歯周組織の破壊が重度に進行している場合がほとんどです!
このことから、歯周病の治療および予防への取り組みは歯を残すための重要事項です。
歯周病の治療
歯周病の治療は大きく分けて歯周基本治療と歯周外科治療の2つに分かれます。
歯周基本治療は全ての歯周病患者さんに対して行われる治療です。
歯周病の原因であるプラークや歯石(これらを総称してバイオフィルムと呼ぶ)を除去します。
また患者さん自身が徹底したプラークコントロールを行い、歯ブラシでは取れない歯石を除去して、歯周病の症状を改善させます。
歯周病の症状が比較的軽度の場合は、歯周基本治療で症状は改善していきます。
しかし、歯周病の症状が中等度から重度になると、歯周基本治療では改善しない深い歯周ポケットや複雑な歯槽骨の欠損が残存する可能性があります。
その際に歯周外科手術が必要となります!
歯周外科手術は、歯肉を切開して剥離することで、歯や歯槽骨が明確に視覚化して、歯周基本治療では除去しきれない部分の歯石や感染物質の除去を行っていきます。
この際に、歯槽骨の欠損の形態に応じて歯周組織再生材料を併用していくことにより、歯周組織(歯肉・セメント質・歯根膜・歯槽骨)を再生させる方法が歯周外科再生療法になります!
簡単にいうと、歯の掃除だけでは回復しきれないところを骨を回復させる補助の薬や人工の骨を足して作っていくような治療です!
歯周外科再生療法
歯周外科再生療法は、歯周病により失われた歯周組織(歯肉・セメント質・歯根膜・歯槽骨)を再生させる治療です。
手術を成功させるために重要なことは、術前に正確な診査を行います。
歯周基本治療によって症状が安定しなかった病変が再生療法で治るのかを見極める。
そのため、従来のデンタルエックス線写真に加えて、三次元的に骨欠損形態を把握するために、歯科用CTを撮影して調べる時もあります。
また、口腔衛生状態が不良である場合や喫煙は、歯周組織の創傷治癒を遅延させるので治療の成功率を低下させてしまいます。
患者様には手術前と手術後の徹底したプラークコントロールや禁煙を協力していただきます。
手術は歯肉を切開、剥離し視覚化させて
歯石、炎症性の組織を除去していきます。
その後、骨欠損に種々の歯周組織再生材料を補填して縫合していきます。
手術時間は約1時間から2時間です。
通常、手術日の10日から2週間後に抜糸をします。
術後は患部の確認やケアを定期的に行い、手術後6か月ほど経過を観察したあとに歯周組織の再検査および再評価をして予後を見極めていきます。
歯周組織再生療法は、技術や材料の進歩により、高い成功率が得られるようになってきています!
ただ病変が残存した場合は、追加的な治療が必要になることがあります。
歯周組織再生療法に用いられる歯周組織再生材料
エムドゲイン®
歯の発生の際に重要な役割を果たすタンパク質として、エナメルマトリックスタンパク質があります。このタンパク質は歯周組織再生に役立つと考えられており、エムドゲインはこのエナメルマトリックスタンパク質を含んだ歯周組織再生材料になります。
バイオオス®
人工の骨移植材料で、歯周病による骨欠損部位に応用することで、骨再生の促進の補助をします。
バイオガイド®
吸収性のコラーゲン膜で、骨移植材と共に歯槽骨欠損部分に応用します。骨再生の促進を補助する素材です。
リグロス®
塩基性線維芽細胞増殖因子と呼ばれる成長因子で、人工的に精製されたタンパク質です。
この成長因子の作用により歯周組織の細胞を増殖させることで、失われた歯槽骨や歯根膜の再生します。この治療は保険内で可能です。
歯周外科再生治療はリグロス以外は保険外になる治療ですし、費用もかかります。
そのために治療して治っていくかを見極めて検査し、最初に患者様に説明し進めていくことが非常に重要です!
当院では必ず説明を行い現在の状態を理解してもらってから始めますのでご安心ください😊
歯周外科再生治療は僕自身得意にしてる治療なので、もしお困りの方は是非お気軽にご相談ください!